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青色のアジサイを咲かせるのに必要なアルミニウム輸送体の遺伝子を初めて取得 研究活動 | 研究/産学官連携

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Academic year: 2018

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青色のアジサイを咲かせるのに必要なアルミニウム輸送体の

遺伝子を初めて取得

‐青色の花の育種や、世界の耕地の約 40%を占める酸性土壌に

耐性を持つ植物の育種への応用に期待‐

【ポイント】

○ア ジ サ イ の 花 を 青 く す る に は ア ル ミ ニ ウ ム イ オ ン が 必 要 で あ る こ と が わ か っ て い る 。 青色のアジサイガク片から、2種類のアルミニウム輸送体遺伝子を取得した。

○今 回 取 得 し た 2 種 類 の 輸 送 体 は 、 液 胞 膜 お よ び 細 胞 質 膜 に 局 在 し 、 い ず れ も 水 チ ャ ネ ルとして知られるアクアポリンとよく似たタンパク質であった。

○2種類の輸送体共に、酵母を用いた実験によりアルミニウムを運ぶ働きを確認した。

○シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ に 液 胞 型 の 輸 送 体 遺 伝 子 を 導 入 す る と 、 根 の ア ル ミ ニ ウ ム 障 害 を 軽 減 できることがわかった。

【背景】

アジサイ(学名:Hydrangea macrophylla)は日本原産で原種の花は青色である。この 花(我々が見ているのは装飾花で実際はガク片)は、酸性土壌で育てると青色となり、ア ルカリ性土壌では赤色になることが20世紀初頭より知られている。酸性土壌では、土壌 中に3番目に多く含まれる元素のアルミニウムが水溶性になる。そして、根から吸収され たアルミニウムイオンがガク片の着色細胞の液胞内で、アントシアニンと錯体を形成し美 しい青色を発色する(図1)

ただし、一般的にアルミニウムイオンは植物にとって毒である。酸性土壌では根に障害 がおきて生育が悪くなり枯死に至る。アジサイは酸性土壌に耐性を持つ植物で、植物体内 に 多 量 の ア ル ミ ニ ウ ム

を 貯 め る こ と も 知 ら れ ていた。しかし、アルミ ニ ウ ム が 液 胞 内 へ 運 ば れ る 仕 組 み は 全 く わ か っておらず、探索の手が かりも無かった。

【研究の内容】

青 色 ア ジ サ イ ガ ク 片 から cDNA ライブラリ を 作 成 し て 塩 基 配 列 を

(2)

解読し、マイクロアレイ実験とコンピュータ解析により、輸送体タンパク質の特徴を持つ 遺伝子を候補として絞り込んだ。これらの遺伝子を酵母に導入して、アルミニウムの輸送 活性を測定した。

水チャネルタンパク質とよく似た配列の液胞型アルミニウム輸送体遺伝子(HmVALT) を取得した。本遺伝子を導入した酵母は、液胞内へアルミニウムを貯めることが確認され た。次に、これと配列が似た細胞膜に存在する輸送体の遺伝子を同様の方法で探索し、ア ジサイ細胞膜型アルミニウム輸送体1HmPALT1)を見いだした(図2)

液胞型アルミニウム輸送体はガク片の他茎、葉、根にも存在し、ガク片では青色が濃く なるにつれて増えた。一方、細胞膜型アルミニウム輸送体1は、ガク片だけに存在した。

この 2 種類の遺伝子をアルミニウム非耐性植物のシロイヌナズナに導入してアルミニ ウムを含む培地で育てた。液胞型アルミニウム輸送体遺伝子を導入した植物は根が十分に 伸び、アルミニウムに対し耐性を持つことが証明された(図3)

【成果の意義】

1) 新たな遺伝子探索法および、アルミニウム輸送活性測定法を考案して、非モデル植 物のアジサイからアルミニウム輸送体遺伝子を取得した。

2) 細胞外から細胞内へ、および細胞内から液胞内へアルミニウムを運ぶ2種類の輸送 体を見いだした。この仕組みの利用により、青い花の育種に可能性が広がる。 3) 今回取得したアルミニウム輸送体は、水チャネルタンパク質とよく似ており、なぜ

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水ではなくアルミニウムを運ぶのかの解明が今後の課題である。

4) 地球上の全耕地の約 40%が耕地不適の酸性土壌であり、主としてアルミニウムの 害により生育障害が起きている。今回 の成果は、酸性土壌耐性作物を育種するため にも重要と考えている。

【用語説明】

輸送体:何らかの物質を運ぶ働きをするタンパク質のことで、細胞膜、あるいは液胞膜に 埋め込まれており、その膜をはさむ内側と外側の間で物質を輸送する。一般的には、薄い 濃度の側から高い濃度の側へとエネルギーを使って運ぶタンパク質を輸送体と呼ぶ。 液胞:植物細胞に特徴的な細胞内顆粒で、液胞膜に包まれている。成熟した細胞では体積 の 90%以上を占める大きな細胞内小器官である。アントシアニンや有機酸、イオン類な どが貯蔵される。また、植物は毒物質を液胞に運び隔離することで、細胞質の毒物濃度を 下げて毒性を軽減することが知られている。

液胞膜:液胞を包む膜組織のこと。

細胞膜:細胞を包む膜組織で、植物細胞ではその外側に細胞壁が存在する。

土壌中のアルミニウムの水溶性と障害:土壌中のアルミニウムは中性の水にはほとんど溶 解しない。しかし、酸性 では水に溶けるようになる。水 に溶けたアルミニウムイオンは、 強い毒性を示して根に障害を起こすため、養分吸収 等に支障がおきて生育が阻害される。 cDNAライブラリ:ある細胞内に存在するタンパク質を特定するために、その設計図であ

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mRNA(メッセンジャーリボ核酸)から探すことが一般的に行われる。mRNA は不安 定なため、細胞から抽出した後、酵素を用いて相補的なDNA鎖の集まりとして保存する。 これをライブラリと呼び、これを元に様々な分子生物学実験を行う。

マイクロアレイ:DNA チップとも呼ばれ、細胞内の遺伝子発現量を測定するために、多 数のDNA断片をプラスチックやガラス等の基板上に高密度に配置した分析器具。

【掲載雑誌名、論文題目、著者名】 PLOS ONE(プロスワン)

“Tonoplast- and Plasma Membrane-localized Aquaporin-family Transporters in Blue Hydrangea Sepals of Aluminum Hyperaccumulating plant”

ア ル ミ ニ ウ ム を 高 濃 度 に 蓄 積 す る 植 物 で あ る ア ジ サ イ の 青 色 ガ ク 片 の 液 胞 膜 お よ び 細 胞 質膜に局在するアクアポリンファミリーに属する輸送体

Takashi Negishi, Kenshiro Oshima, Masahira Hattori, Masatake Kanai, Shoji Mano, Mikio Nishimura and Kumi Yoshida*

根岸孝至

1

、大島健志郎

2

、服部正平

2

、金井雅武

3

、真野昌二

3

、西村幹夫

3

、吉田久美

1

1:名古屋大学大学院情報科学研究科 2:東京大学大学院新領域創成科学研究科 3:自然科学研究機構基礎生物学研究所

http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0043189

参照

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